フランスのサイレント映画時代

1908年、アカデミー・フランセーズの文学者やコメディ・フランセーズの俳優たちが「フィルム・ダール(芸術映画社)」を設立し、映画を芸術化しようと試みます。その第一回作品は「ギーズ公の暗殺」。16世紀フランスの宗教戦争を背景に、アンリ3世が自分の王座を脅かす人物・ギーズ公を暗殺した事件を、題材にしています。映画に初めて「演技」を持ち込んだ作品であり、俳優中心の映画づくりの先駆けになったともいわれています。

フランスのサイレント映画時代に名を残したのが、アベル・ガンス。1922年の「鉄路の白薔薇」では、暴走する機関車が脱線するシーンなど、力強いフラッシュバック効果を活用し、高く評価されました。1927年には、6時間に及ぶ超大作「ナポレオン」を発表。“トリプル・エクラン”と呼ばれる3台の映写機を使ったスケールの大きな映像などを用い、後に開発される映画技術を先取りしています。

1920年代。フランス映画で大きな位置を占めていたのは、アヴァンギャルド映画でした。アヴァンギャルドとは前衛という意味で、既成の商業主義映画のストーリー性やリアリズムを排除し、純粋に映像の持つ芸術的表現の要素を追求することが、アヴァンギャルドの精神だったといわれています。

アンダルシアの犬
アンダルシアの犬
アヴァンギャルド映画で有名な作品のひとつが「アンダルシアの犬」。監督は、後に巨匠として知られるようになるルイス・ブニュエルと、画家として有名なサルバドール・ダリ。

眼球を剃刀で切られる女、手のひらから這い出す蟻の群れ、路上に切り落とされた手首を見つめる女装の男……etc、彼らが実際にみた“夢”が無秩序に映し出される衝撃的な作品で、当時は熱狂的に支持される一方、ヒステリックな批判も巻き起こったといいます。




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